東北大学大学院 医学系研究科 分子血液学分野

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1988年に、Harold Weintraub教授らが線維芽細胞を筋細胞へと分化させる転写因子MyoDを発見した後、多くの研究者が細胞の運命や分化に関わる転写因子の同定競争に参入しました。その渦中に、赤血球分化に重要な転写因子としてGATA1が発見され、その後6種のパラログから構成されるGATA転写因子群(GATA1-6)が同定されました。

私達は、赤血球・巨核球分化過程で働くGATA1、そして造血幹前駆細胞や免疫細胞分化過程で働くGATA2を対象に研究を行っています。近年、GATA1とGATA2の遺伝子変異が、白血病やその他の造血器疾患から見つかっていますが、これら遺伝子変異と疾患発症の関連性は十分に検証されていません。そこで、転写因子ネットワークに支えられた精緻な遺伝子発現制御が恒常的造血に重要であること、その破綻が造血器疾患発症に密接に関連することに着目し、GATA因子の質的・量的な異常が引き起こす、疾患発症の分子機序を解析しています。特に遺伝子組換え動物を利用した生物個体解析を中心に、GATA1による赤血球・巨核球分化制御、GATA2による造血幹前駆細胞機能・免疫細胞分化制御について研究を進めており、貧血症や免疫不全疾患、白血病の分子基盤解明を目指しています。